ただ、あなたが好き。それだけ。

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来てくれて、嬉しかった。 でも、彼がピンチになってしまった。 怖い、でも彼を守りたい。 怖いけど、でも。 「………し、おざきさんの言う通りです」 言えた。 そして、あなたは…… あの時の子だったんだね。 気づかなかったよ。 変わっていたから。 強くなったんだね。 私も、勇気を出すよ。 「わ………たし、は………、クラスでイジメに遭っています」 声が震える。 でも、言わなくちゃ。 「この人が、主導したから……」 「………クソ、やってられっか」 あの男は、逃げていった。 「みなさん、すみません。ありがとうございます」 潮崎さんが、お礼を言っている。 「あ、りがとう……ございます」 「警察のかたも、すみません。俺が殴ってしまったのは事実なんで、警察に行きます」 「あ、あぁ。うん」 「わたしも………、いきます」 体が、震える。 怖かった。 「分かった。じゃあ、今話は聞いたけど、もう少し詳しく聞きたいから、署まで来て」 私と彼は揃って車に乗った。 「ありがとう」 小さな声しか出ない。 「いや、俺こそ。あの時は、ありがとうございました」 隣で、彼が少し笑う。 私たちは、その日からしばらく学校を休んだ。
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