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第2話 龍星の子 クレア
「…ん、ここ…は…?」
森林の中だろうか。典型的な大森林だが、ここに特典の仲間がいるかは怪しいから、とりあえずこの森林から出よう。
…また姉さんの前で格好つけちまったな。3439歳なんていい歳して‐
バキッ…ドゥォン!!
!?…びくったけど、今木から落ちたのって人か?
「そこのお前、大丈夫か?立てるか?」
「っいたた…。あなたは…お告げの人ですね。」
「はい?」
見た感じ年は14、5歳、身長は俺の顎あたりに頭、目のしたくらいに角(!?)が来るくらいか。
濃い蒼の髪、黒く曲がった2本の角、背中の翼、鱗のついた尻尾...。龍星人族。顔付きも幼いわりにいい体付きしてるが、変わった服だな。袖は襦袢みたく広いのを腕くらいから着けて、服は少しドレスじみて…
「ねぇお兄さん。私、神様からのお告げでこの森林で迷っている男の人に仕えろ、と言われたのですが…。」
最高神様そこまでして下さったのか…。
「そうか。俺はイデア。お前の名前は?」
「私はクレアって言います。よろしくお願いします、お兄さん。」
「お、おう。」
「ところでお兄さん、さっきから何をお捜しに?」
「え?ああ、その辺に聖剣とか刺さってなかったか?」
「それってこれのことですよ、多分。」
「これか。」
豪勇剣レヴァテイン‐。勇気を消費して能力を発揮する使い勝手の悪い聖剣か。使ったことの無いタイプの武器だが、見た目は悪くないか。
「お兄ぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「おい、急にどうした!?何かあったか?」
「あ…あれ…。」
「ああ、こいつか。」
怪鳥フーリア‐。こいつ、初見殺しとは言われてるけど、慣れるとなんてことない魔物だ。一発このレヴァテインとやらをお見舞いしてやる。
「これでもくらえ!」
「ゲヴシェ!!!」
「お、終わった…」
「もう怯えなくて大丈夫だ。これからは俺がお前を守ってやる。」
「お、おお、お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
「ちょ、急に抱き着いてくんな。苦しい、く、苦しい、死ぬ、放せ、放せ!」
「…これからはお兄ちゃん、って呼んでもいい?」
「べ、別にいいけど…。」
何この展開!?急すぎて話に頭が追いつかねぇ…。
「そういえば、お前の家ってどこにあるんだ?」
「…クレア、って呼んでほしいな。」
「おま…クレアの家ってどこにあるんだ?」
「ここから2日くらいかかる場所。でも、私はお兄ちゃんに仕える為にここまで来たので。」
「なら、今夜はこの森でキャンプしよう。」
「えぇ…、この森、私はあんまり好きじゃないんだよね。どうにかならない、お兄ちゃん?」
「…分かった。この森から少し離れた場所にしよう。」
「やったぁ!」
あー、ダメだ。クレアの上目遣いは心臓に毒だ。精神には万病の薬だろうけど。
「そういえばクレアはどれくらい戦える?」
「素手でナイトメアを殺せるくらいで、お兄ちゃんほどではないよ。」
十分上級将徒だったか。
「じゃあ何でフーリアは倒せなかった?」
「私、フーリアがトラウマなんです。」
「そうか、すまなかった。」
「でも、嬉しかったよ。」
「え?」
「お兄ちゃんがしっかり私を守ってくれたし、久しぶりに、本当のお兄ちゃんのことを思いだせたから。」
「クレアは血の繋がったお兄さんがいるのか?」
「うん。とっても強かったし、私がフーリアに殺されかけた時も、すぐにフーリアをやっつけてくれたよ。でも、<魔帝二十四騎士>の討伐に行ってっきり、帰ってこなくて…」
「…」
「でも、今はこうやって違うお兄ちゃんでもとっても優しいお兄ちゃんがいてくれて、私、嬉しい。」
「俺にも、クレア以外に姉妹や兄弟というと血の繋がってないけど姉さんがいて、その姉さんは俺に世話を焼いてくれるんだ。だから、やっぱり血が繋がっていようがいなかろうが、兄弟ってのは大事なんだな。クレアも、いつかその兄さんと再会できるといいな。」
「うん!」
「お兄ちゃん、おやすみ。」
「ああ、クレアもお休み。明日からもよろしくな。」
「よろしく!」
~5分後~
「スゥー、スゥー」
熟睡したか。
「クレアはもう寝ましたか?」
「姉さん、ずっと俺らのこと監視してたのか。」
「まぁ、そうです。とりあえず、あなたに報告するべきことがあります。最寄りの村に<魔帝二十四騎士>の1人が潜伏している可能性があります。そこのアダヴァート遺跡に行くつもりだったかも知れないですが、先にそちらを殲滅してください。探索はそれから行ってください。」
「了解!」
第1部2章完 3章も乞うご期待あれ
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