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第2部 第3章 濃密な2人だけの朝
「おはよう、イデア君。」
「おはよう、イリオス。ところで、俺は今どういう状況なんだ?」
「え?膝枕だけど。」
「…今クレアはこの部屋にいないいよな?」
「クレアちゃんは、少し前に散歩だとか言ってどっか行っちゃったよ。」
「そうか。あと、そろそろやめてくれないか?」
「もう満足?私に膝枕されたのはイデア君が初めてだよ?いいの?」
「誰かに見られてる気しかしねぇんだ。」
「もしかして、恥ずかしい?そうやって照れるイデア君も私は好きだよ。」
「そ、そういう問題じゃねぇよ。あと、この部屋障壁少ないけど、まさか同じ部屋で着替えるつもりか?」
「そんなこと考えるなんて、やっぱりイデア君も男の子なんだね。」
「まさかタイミングずらせば問題ない、とかじゃないよな?」
「私、着痩せするタイプなの。だから、ただタイミングをずらせばいいだけじゃないけど…。」
「だったら、俺先に着替えていいか?」
「だ、だったら、イデア君の筋肉、観察していい?」
「いいから、まず落ち着け。」
「…なあ、俺ってこの旅のトッピングに背徳感マシマシなんか付けたか?」
「べ、別にいいじゃん。こうやって2人きりの時くらい。」
「姉さんに監視されてること忘れたか?」
「そ、そこは…。と、とりあえず、シュレティちゃんも私がイデア君のことが好きってっことは知ってるし。」
「それでも、こんなにべったりくっつくのはある意味反則かと…。」
「ある意味~?今、イデア君私のこと意識しちゃってる?」
「さっき自分で気づいてただろ。所詮俺も男子だってこと。」
「もう、顔真っ赤だよ?やっぱり私、イデア君のことが好き。」
「今日はデートに行くんだろ?そういう台詞セリフは後でにしてくれ。」
「着替え終わった?」
「…何とかな。」
「今度は私のターンだよ。」
「ゑ?」
「私、さっきも言ったけど、脱いだら凄いんだよ?」
「やめろ、周りに人がいたら誤解されるだろ!」
「我慢できなくなったら、いつでもかかってきてね。こっちは準備万端だよ。」
「やめろ、やめてくれ!俺はまだ童貞でいたいんだ!」
「もしかして、今エッチなこと考えてた?いいよ、私がイデア君の初めてになってあげる。」
「だ、誰かーー!!!」
「結局、何もしてくれなかったじゃん。」
「いや、何かされたかったのかよ!?俺は基本ここだ、と思える空気に巡り逢うまで、童貞は卒業しないつもりだからな。」
「あ、あと…、クレアちゃんがいない今のうちにしたいことがあるんだけど…。」
「何だ?」
「その…、キ、キスしない?」
「どうせデート中にそういうシチュエーションになるから。」
「でも、今がいい。ごめんね、ちょっと強引だけど…。」
「え?おい!普通俺が張り倒す側だろ!?」
「ツッコむところそこ?じゃ、じゃあ…、いくよ。」
「待て!まだ心の準備が…。」
「イデア様、イリオス様。お食事の準備が整いましたので…」
「は、はい!今行きます!」
た、助かった…。
「えっと…、給仕長さん。食堂までは私がイデア君をエスコートするので大丈夫です。」
「イリオス様。失礼ながら、ご尊顔が大変紅潮らっしゃいますが…。」
「え!?あぁ、指摘ありがとう。」
「イリオス様のお役に立てたようで何よりです。それでは。」
「イデア君、さっきはし損ねたけど、今日中には絶対するからね、キス。」
「それに値するような甘いシチュエーションがあったらな。」
「え?お姉さん、何をし損ねたって?」
「わぁ!ク、クレアちゃん、いつから居たの?」
「ついさっきからですけど?」
「よかった…。それよりクレアちゃん、その恰好はどうしたの?」
「ええと、お姉さんには散歩と言って出て行きましたが、実は給仕さんたちの仕事を手伝いに行ってたんですよ。」
「そうか。ちなみに、何を手伝ったんだ?」
「お兄さんの分の朝ごはんを作らさせてもらったんですが…。お口にあえば嬉しいです。」
「そうか。なら楽しみにしてるぞ。」
「なぁ、クレア。お前一体どこで…。」
「実は言ってませんでしたが、私、一度口にしたものを完全再現する調理スキルを持っていてですね。」
「給仕の方々はどう思います?」
「そのスキルを教えて欲しいといったところです。」
「それじゃあ、クレアは今日、ここの給仕全員にこのスキルを教えるのか?」
「今日はそうします。」
「そうか。じゃあ、頂こうか。」
「待ってイデア君、その料理に惚れ薬が入ってるよ。」
「え?そんなまさか…?」
「やはり武神姫ともあろうお方の目を誤魔化すことはできませんでしたか。」
「え!?普通そこ白状するか…!?」
「なぜ惚れ薬なんかを?」
「いや…。惚れ薬を使ったらお兄さんは一番最初に誰に惚れるのかな~?って。」
「惚れ薬は、取り返しのつかないことにもなるのに、それを使おうだなんて…」
「なぁイリオス。今回は俺に免じて許してくれないか?」
「それなら聞かせて。イデア君は、どっちの方が好きなの?」
「それは……、決まってんだろ…。クソゥ…。」
「…お、お兄さん、大丈夫?」
「イデア君…。もしかして彼女のことを…。」
「…だから、今の俺は2人とも好きだが、そのかわり愛しきれない…。」
「…。」
「…。」
「…だからイリオス。今日のデートは精一杯楽しませてくれ。あと、クレアも明日の朝食は変なものを入れずに普通に作ってくれ。楽しみにしてる。」
「もちろんだよ。イデア君の為なら、私は何だってするよ。」
「わ、私も、お兄ちゃんが喜ぶなら…。」
「イデア、なかなかいいハーレムじゃないか。」
「ティ、ティオルフ、ハ、ハーレムだなんて…。」
「ティオルフ様、別にハーレムってわけでは…。」
「イリオス様、頑張ってくださいですの。」
「イリオス様、俺…。」
「どっちが幸せを掴むか見ものだにゃ。」
「と、とりあえず朝食済ませてさっさと部屋に帰ろう。」
「お兄さん、ごめんなさい。」
「別にいいよ、気にすんな。」
「デートでお姉さんに侵されないようにね。」
「別に侵されるつもりはないさ。」
「イデア君、私、寄りたいところがあるから先に行っててね。」
「じゃあ、また後で。いってきます。」
「もう2人とも行きましたよ、アンチモンさん。」
「本当に、協力、してくれるのか?」
「もちろん。お互いの理想の為ですから。」
神生奪還 第2部3章完 4章も乞うご期待
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