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イケメンのお兄さんが、笑顔で席へと案内してくれた。
夜景の見える窓際の席には、予約席のプレートと小さな花のブーケが置かれていて、思わず先生の顔を見つめる。
「就職祝いも兼ねて。ね?」と先生はニッコリと微笑んだ。
いつの間に、予約しくれたんだろうか?と驚きつつも、用意してくれたサプライズが嬉しくて、そして照れ臭い気持ちになる
「ありがとうございます。……少し照れ臭いですけど、凄く嬉しいです」
「ふふ、喜んで頂けたなら良かった。点野君、料理宜しくお願いしますね。」
先生がイケメンさんに微笑みながら声を掛ける。
点野さんという名前なのか。名前で呼びあう程の常連さんなのかな?
などと考えていたら、イケメンさんと目が合ってしまった。
「僕と、東地は大学時代からの友人なんですよ」
「え?そうなんですか?」
まるで心の中を読まれたかのような自己紹介に驚きつつ、先生に視線を向ける。「そうなんです、僕の良き友人であり、僕の癒しでもあるんです」と、先生が頷きながら答えてくれた。
なるほど。良き友人であり、癒しかぁ……。
ボーイズラブ的な発言に聞こえなくも無い。
え?そういう事なのかな?
思わず二人に視線を向ければ、「誤解です」と点野さんが苦笑いを浮かべた。
「東地、言葉のチョイスを間違えると、あらぬ誤解を招くよ?」
「え?僕なにか間違えました?」
点野さんの言葉を聞いた先生が、不思議そうに小首を傾げる。
あー……うん、天然かぁ。そっかぁ。
私は心の中でうんうんと頷き、点野さんに「大丈夫です。分かりました」と言葉を返した。
点野さんが作ってくれる料理は、とても美味しくて、優しい味がする。
なるほど……先生はこの事を言いたかったのかな?
頷きながら食べていたら背後から先生を呼ぶ声が聞こえた。
「よう、東地じゃねーか」
その声に驚きつつ振り向くと、そこには金髪に無償ひげを生やした男性が、ニッカリ笑いながら立っていた。今度はワイルド属性のイケメンかぁ…。
「ああ、羽生君!お久しぶりですねー」
「……んだぁ、デートか?」
「そうですね。デートですー。」
東地先生の発言に驚き、思わず先生の顔を見つめる。
点野さんが、額に手をやり「東地、言葉のチョイス」と呟いた。
ああ……なるほど。先生は天然タラシなんですね。
少し東地先生の事が分かった気がする。
先生の天然発言を真に受けて、うっかり本気になってしまうと
大変危険だという事がわかりました。気を付けよう……。
で?この金髪さんも、先生の友人さんなのかな?
じっと金髪さんを見つめたら、金髪さんが口の端をニッと上げ
意地悪な笑みを浮かべた。
「お嬢ちゃん、東地に惚れると苦労するぜ?」
「私もそう思います。ご忠告ありがとうございました。」
私はニッコリと絵にかいたような笑顔で、金髪さんにそう言葉を返す、
金髪さんはハハハと笑いながらパシパシと私の背中を叩いた。
ちょ……痛いですよ。
「ブハッ!いいねー!お前さんなら大丈夫そうだな。ハハハハハ!」
突然ゲラゲラと笑い出した金髪さんに、少しだけ殺意が芽生える
だが、金髪さんは「悪い悪い」と私の頭に手を置き、クシャリと撫でた。
「コイツは誤解されやすい性格だが、根は良いやつだ。」
「あ……はい。私もそう思います」
「宜しく頼むな。」
金髪さんのその言葉に「ん?」と一瞬小首を傾げつつも「ハイ」と私は頷いた。
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