小鳥ちゃん

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俺のクラスには”小鳥ちゃん”という女の子がいる。 小鳥ちゃんは、とにかく可愛い。身長が小さくて色白で、つややかな桃色の頬をしている。大きな目、長い睫毛、キュッと筋が通った控えめな鼻、さくらんぼみたいに赤くて潤んだ唇、色素の薄い栗色の髪の毛は、肩までの長さでふわふわと揺れている。 小鳥ちゃんの脚の形、耳の形は、人間の見本のように本当に美しい形をしている。全てのパーツが小ぶりなのに、本当に丁寧で美しいディティールだ。 そしてその身体から発せられるその声は、透き通っていて甘ったるくて、瑞々しいフルーツみたいだ。少し舌ったらずな所がまた魅力的だ。 小鳥ちゃんを作った神様は、きっと天使をモデルにして作ったんだと思う。 俺と小鳥ちゃんとは高校2年生になってから同じクラスになった。 高校の入学式の時、天使みたいな女の子がいると話題になり、しかも小鳥ちゃんという名前ではないか。 小鳥ちゃんはすぐに有名になった。 小鳥ちゃんが歩くだけで、花が咲いたかの様に周りの空気がパッと明るく華やぐ。 小鳥ちゃんが笑うと、雲間から光が溢れ出て、空から天使が舞い降りてきた様に世界がキラキラと輝く。 大袈裟な様だが、小鳥ちゃんという女の子は本当に可愛くて魅力的なんだ。 男はみんな、たちまち小鳥ちゃんに夢中になってしまう。 俺も小鳥ちゃんという女の子を知ってはいたが、2年生になった当初は特に接点がなかった。 やっぱり中身を知らないと、恋には落ちない。 だから俺は小鳥ちゃんの事は勿論可愛いと思っていたのだが、それ以上の感情はなかったのだ。 しかし、そんな格好付けた事を言っていたのも束の間、あっという間に僕は小鳥ちゃんという女の子に狂う程の恋をする事となる。 天使ではなく天性の小悪魔、いや、悪魔であるという事に気付くのはもっと先の話だ。
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