小鳥ちゃん

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後に小鳥ちゃんに恋をする、この男の名は笹川健(ささがわたける)という。 健は野球部に所属していて健康優良児だ。友人も多い方だし、先生からも好かれる性格をしている。真面目だが冗談も通じるし、やる時はやる、ふざける時はふざけるのメリハリがしっかりしている。恋愛には少々奥手の所があり、中学の時は二人と付き合った経験があるが、どちらとも手を繋ぐ事で精一杯だった。 高校生になったらもっと素晴らしい恋愛をしてみたいと願う、少年ジャンプが好きな、どこにでもいる普通の家庭の普通の少年だ。 健には中学からの親友がいて、親友の名は竹本流行(たけもとはやる)という。流行と書いて、はやると読む。少し気障な雰囲気を感じる名前だが、彼は全く気障ではなく、気さくで良い奴だ。 同じ野球部に所属しており、中学の頃、健はピッチャー、流行はキャッチャーだった。そう、バッテリーを組んでいた。二人で死ぬ程練習をした。 部活の練習時間が終わっても、二人で夜の練習と称し、星の光を頼りにいつまでも練習した。 (実際電灯があったので、勿論星の光だけではない。しかし二人はこの話を誰かに話す時、星の光だけで自分達は練習をし続けたと伝えている。) 高校生になってからはまだ二人ともレギュラー入り出来ていないのだが、2年に上がったら絶対また二人でレギュラー入りして、いつか一緒にバッテリーを組もうと意気込んでいた。 流行はなかなか端正な顔立ちをしていて、ハンサムな方だ。女子には密かにモテていたが、気取ることはなく、いつも自ら面白い事をやったり部内を盛り上げてくれるキャラだ。 周りからは、たける・はやるペアと呼ばれる程、二人は仲が良かった。いつも互いの愚痴や悩みを聞いては励まし合い、勉強や部活も互いを鼓舞し合いながら二人で頑張ってきた。 二人の絆はとても強く、簡単に切れるものではなかった。 互いに互いを、なくてはならない存在だと思っていた。 高校1年生の頃は二人は違うクラスだったのだが、2年に上がり、同じクラスになれた。 流行は、「やった、1年間健と一緒に過ごせるなんて嬉しすぎる。」と、はしゃいだ。 健は「やめろよ、周りからホモだと思われるだろ。」と言うも、内心は嬉しかった。 「何言ってんだよ、今はLGBTの時代だろ。」 そう言って流行はニヤッと笑った。
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