透明な君とアネモネ

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 眠るように息を引き取った幼馴染の日和(ひより)。  言えなかった…  最後の最後まで言えなかった…  「小さい頃から日和が好きなんだ」って。    隣で俺を笑う日和がいなくなってから、もう2年の月日が経つ。  誕生日から命日、お盆には必ず日和のお墓に花を添える。  未だに悲しみと後悔から抜け出せない俺は、何をしても身が入らなくて、どこに行っても日和の笑う姿を思い出してしまう。日和を忘れようなんて思っているわけじゃない…。でも、思い出す度に胸が苦しくなるんだ。  明日は日和の誕生日。  もちろん、日和の好きな花を買って墓参りに行くつもりだ。  日和はよく俺の誕生日にアネモネがモチーフの小物をくれる。色は様々で赤色だったり、青色だったり、時には男の俺には似合わないピンクだったり。特に青色が多い。だから、俺は日和はアネモネが好きなんだと思って、墓参りの時は必ずアネモネを供える。    「誕生日おめでとう…。俺、まだ立ち直れてないんだ…、馬鹿だよな…。日和がいたらグズグズするなって怒られるだろうな…」  日和のお墓には既に綺麗な花が供えられてある。きっと、日和の両親が来たんだろう。  「いつもおんなじ花でごめんな。でも、日和が好きな花がこれしか知らなくてさ…」   泣かないと決めていたのに俺の頬には生温い涙が伝う。  「ごめん…」    
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