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「ほんっとに、泣き虫なんだからっ!!」
どこからか日和の声が聞こえたような気がした。
「ははっ、幻聴まで聞こえてきたのか俺は…」
「幻聴じゃないわよっ!!後ろ見て」
俺が後ろを振り返ると薄く透けた姿の日和が立っていた…というか少し浮いていた。俺は目を強くこすり、もう一度よく見る。そこには確かに日和がいる。
「とうとう、おかしくなったのか?それとも…」
目の前にいる透けた日和は深く溜め息をついて、触れられない手で俺の頭を叩く。痛くはないけど、温かい空気を感じた。
「俺、日和の幽霊を見ているのか…?」
「そうよ、私だって、まさか幽霊になるなんて思ってないわよ。きっと神様が優人に呆れて私を見せてくれてるのよ」
怒っている日和とは裏腹に俺はまた涙が溢れ出す。
「っ…!いつまで泣いてるの…」
「ごめん、だって会えるなんて思ってなかったから」
日和はまた深い溜め息をつく。でも、どこか笑っているような気もした。
俺が泣き止むと、日和は話を切り出す。
「ねぇ、優人。あの日の約束、覚えてる?」
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