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「約束…?」
日和はまた溜め息をつく。俺と会ってから何回溜め息をついただろう。
「やっぱり、忘れてる…」
言葉と同時に日和は悲しそうな表情を見せる。
俺は片っ端から記憶を思い返す。それでも日和の言っている約束というものが思い出せない。
「何の約束してたっけ…?」
恐る恐る聞いてみると、日和は悲しい表情から怒ったように俺を睨む。
「これじゃ、私の想いが報われないじゃない…。優人、このアネモネの花が枯れるまでに私との約束を思い出して、もう一度、ここに来て。絶対に思い出して!」
日和は無理難題を押し付けて、俺から顔をそむける。
「思い出してって…、どうやって。ヒントくらい教えてくれないか?」
ヒントもなければ俺は何も思い出せないような気がした。
「ヒント…ね…。病院、それだけ」
「病院?」
「そう。じゃあ、頑張って!」
日和の姿、もうそこにはなかった。
花が枯れてしまうまで約一週間。
思い出すしかない、そしたら何かが変わるのだろうか…。
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