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日和の部屋に入ると、本当にあの頃のまま何一つ変わっていない。俺は机の二番目の引き出しを開ける。
” 日和が入院した初日の頃。
「優人…、私もう長くないんだって」
「そんなことないよ、だって治るかもって…」
日和は悲しそうな顔で「もう駄目なんだって聞いたの、お母さんと先生が話してるのを」と言った。
俺は何も言えず、拳を強く握りしめた。
「ねぇ、もしもさ。私がいなくなったら、部屋の机の二番目の引き出しを開けて?」
「いなくなったらって…、そんなことっ!」
俺は涙を堪えて必死に言葉を紡ぐ。そんな俺とは違い、日和は微笑んでいた。
「優人、約束だよ?絶対忘れないでね?」
「……わかった」”
引き出しの中には赤色のアネモネのブレスレットが箱の上に置いてあり、近くには白い紙に「優人へ 今までありがとう。幸せになってね?」と日和の字で綴られている。
「…これ、渡そうとしてたのか…」
ブレスレットの傍には他に日記帳のようなものも置いてあった。俺はそれに手を伸ばし、日和が居たら怒られるかもしれないけど、中を覗く。
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