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由紀が目配せをする。四人分の紅茶を入れ終わった玲華は、皆にカップを配ると由紀の視線を受け取って自己紹介をした。
「私は槇玲華。副部長を任されています。よろしくね」
玲華は今日一番の笑顔を作った。それを確認した由紀が、話の流れを止めないように会話を続ける。
「入部希望ってことだけど、二人は物語を書くのが好きなの?」
「わたしはまだ長編はそんなに書いたことはありませんが、興味あります。短編なら少しだけ」
「かな子さんは?」
「私はめっきり読む方が好きで……葵が書いたやつをよく読んでいます」
「わかった。部活動紹介の時も話したと思うけど、入部したら一応短編や詩でもいいから年に二回出す文集に参加してもらうことになるわ。具体的な時期としては、九月と三月の二回ね。うちの学校は隔年で九月に文化祭が行われるから、文化祭がある年はそこで九月の文集を出すの」
「ちなみにその文化祭は今年だね。二人にも参加してもらうことになるよ」
二人の表情が緊張で強張るのが伝わる。玲華と由紀はそれを見て微笑ましいと思う反面、ここで下手なことを言うと新入部員を逃してしまうかもしれないという焦りを感じた。
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