「普通」じゃない後輩、「特別」じゃない妹

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「大丈夫だよ、私も入部する前は書いたことなかったし」 「玲華は今でも読む方が好きよね?」 「そうだね。書くことを体験してみて、よりそう思うようになったかも」 「だから玲華の言う通り、あまり気にしなくて大丈夫よ」  先ほどよりは安堵した表情を見せた二人に、玲華と由紀は同時に紅茶の入ったカップに口をつけた。程よい温かさが胸に広がっていく。ここで逃しても新入部員は捕まるかもしれないが、早くて確実なことに越したことはない。  ただ玲華にとって、葵という存在が今後どのような影響を自分に及ぼすのか未知数だった。まるで蘭と話しているみたいで、時々胸に冷たい風が吹く。 「あの……過去の文集って読めたりしますか」  葵は目の前に出されたカップに映る自分を見つめながら、急に張り詰めた声を響かせた。それに少し気圧された玲華は、葵から目を逸らしたことを悟られないように目線を上手く本棚に移した。 「過去十年分くらいはあるけど……」 「じゃあ……三年前の文集が読みたいです」 「二冊あるけど、両方読む?」 「はい、お願いします。できればその次の年の九月の文集も」
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