「普通」じゃない後輩、「特別」じゃない妹

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 玲華は自身のスマートフォンを取り出して、画面をなぞっていく。こうして画像欄を漁っていると、蘭が亡くなってから経過した時間が上からのしかかってくるように感じた。 「……似てるわね……」 「やっぱりそう思う……?」 「もちろん違う部分もあるけど、雰囲気がそっくりね」 「違う部分、か……」  葵を見た時、玲華は本当に蘭が目の前に現れたような気がしていた。しかし、時間が経つにつれてどこか蘭ではないような違和感を覚えたのも事実だ。よく考えなくとも、葵は蘭に似ているだけで蘭本人ではないのだから、違和感を抱くのも当然だった。ただ、それが具体的に何なのかまではまだわからなかった。 「明日には新しい妹と会うし……今日は蘭にそっくりな葵さんに会うし……散々だよ」 「そうね……」  玲華の方を向いていた由紀の視線も、少し俯いたものになる。由紀は深刻な問題にぶち当たると、唇を結んで考える癖があった。そういう時、玲華は別の話題を振るわけでも、話を切り上げるわけでもなく、ただ黙って由紀の答えが出るまで待つ。 「まあ、葵さんと蘭さんが別人だってことは頭に入れておいた方がいいわね」 「頭ではわかってるんだけどね……」
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