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高校時代
柊木 圭、15歳。
あと数週間で16歳だけど、とにかく高校に入学したばかりだった。
行きたかった高校を家族に反対され、Ω専用校舎のある私立高校に入学した。
αになんて元から興味は無いし、社交的なタイプではない俺は入学して1週間してもΩの友達すらも出来てはいなかった。
そんなある月曜だった。
「あ、おはよ!ねえ、君名前なんて言うの?」
いつも通り学校に着いて教室の席に座ろうとすると、今まで空席だった右隣の席に見知らぬ男子が座っていた。
「あ、オレ?オレは松永 悠斗って言うんだけど。君は?」
「…柊木 圭」
「圭くん!宜しくね、オレこの前まで体調崩しててさ…」
成程、と今までいなかった理由が腑に落ちた。
「オレ友達いないからさ〜、友達になろうよ、圭くん…いや、圭って呼んでいい?」
「別にいいけど…」
ちょっと苦手なタイプかも。
犬っぽくてパーソナルスペースの狭い、多分騒がしいタイプ。
俺は友達なんて必要無いしべたべたするのも嫌いだ、だからこんな頼みは断ってやりたい。
…けど、何だか俺の事を上目遣いで見るその男…松永は食べ物を強請る子犬のように見えて心が抉られる。
「…好きにすれば」
発した言葉に少し後悔した。
何言ってるんだ俺は…、そう思う隣で松永はわーいと喜んでいる。
「あ、オレのことは悠斗でいいよ」
「…そう」
適当に相槌を打って俺はようやく椅子に座る。
いつものように適当に時間を潰して授業までの時間を過ごそう…と、思ったのに。
「…ね、圭は部活とかするの?」
まだ続くのか。
そう思いながら俺は松永改め悠斗の方を見る。
「まあ、ちょっとは見てみるけど」
「そうなんだ!オレはするつもりないんだけどね。した方が青春!って感じだよなあ」
「はあ…」
青春だとかあまり理解出来ない俺は煮え切らない返事をして頬杖をつく。
そんな様子に悠斗の顔が若干曇る。
「ご、ごめん!何か気にさわった…?」
「いや…別に、そういう訳じゃないけど」
少し焦って何とも言えない返答をしてしまう。
ほんとに?と俺の様子をうかがう彼にまた心を抉られながら、ほんとだよと言葉を返す。
なら良かったと安心したような顔になって、今度は特に何を話し出すことも無い。
それからすぐに予鈴が鳴って、ギリギリの電車で学校にやってくる生徒たちが一気に教室に押しかけて、それと一緒に教師もやってくる。
今日も何でも無い1日が始まる。
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