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暫く2人で、ソファーに座りながらだらだらしていると家のチャイムがなった。
デリバリーしていたものが届いたようで、湊さんは夕飯夕飯と言って嬉しそうな表情になっている。
テーブルに注文した夕飯を並べて、2人でもぐもぐと頬張る。
「あ、そうだ。近いうちに空いてる日ない?3日くらい」
「3日もですか?」
「“も”ってなんだよ“も”って。2人で旅行でも行こうよって誘おうとしてたのに」
2人で旅行、そんな魅力的な誘いが待っていたなんて知る訳もなく、その言葉を聞いた瞬間ごめんなさいなんて謝ってしまった。
「いや謝んなくていいって」
苦笑しながら湊さんは言って、で、どう?なんて改めて俺に聞いてくる。
「行きたい、です」
「じゃあ決まりな。どこ行きたい?」
「どこでもいいです…」
湊さんと一緒なら、なんて後ろに続くはずだった言葉は羞恥心のおかげで喉の辺りでつっかえてしまった。
「どこてもいいの?」
「いい、です」
「じゃあ2人で決めよう」
そう湊さんが言ってくれたから、俺ははいと頷いた。
旅行楽しみだな、なんて1人心の中で呟いて、俺はもぐもぐとカレーを食べた。
ご飯を食べ終えて、俺はそろそろ帰りますと言うと湊さんは泊まれと言うから、俺は素直に従って泊まらせてもらう事にした。
先にお風呂も使わせてもらって、湊さんもその後すぐ入ったから、今は1人でソファーに座って寛いでいた。
湊さんの家には数回しか来ていないけど、
どこも湊さんの匂いがするから安心するし居心地が良い。
「圭〜」
ソファーに置いてあったクッションを抱き締めながら、俺は何を見るでもなくぼんやりと1点を見つめていた。
すると突然後ろから声が聞こえて、びっくりして体を起こすと湊さんは苦笑しながらこちらを見ている。
恥ずかしい…、なんて思いながら、何ですかと聞くと、スマホを触りながら俺の隣に座った湊さんは触っていたスマホを俺にも見せる。
「ここどう?前テレビでやってたんだよ」
画面に映っていたのは最近人気らしい観光スポットだ。
俺も以前テレビで見たことがある。
「温泉旅行でも行こうよ。料理も美味いらしいし」
「いいですね」
温泉旅行なんて行ったこともない。
楽しそうだな、行きたいななんて思う。
「じゃあここにしよ。周りに何かあるかな〜…」
2人で湊さんのスマホを覗き込んで、旅行先を決める為に色んなサイトを眺めた。
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