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車が少し大きく揺れて、俺は目を開けた。
気づくとそこは知らない場所で、そこで俺は寝てしまっていたことに気づいた。
寝ないようにしようって思ってたのに、と思いつつ横を見ると湊さんと目が合った。
「あ、起きた?ちょうど起こそうとしてたんだよ」
「すみません、寝ちゃって」
「だからいいって。それよりトイレとか飲み物とか大丈夫?」
「あ…じゃあ、行っとこうかな」
俺たちは2人でサービスエリアに少し立寄ることにした。
15分程でそこも出て、目的地に向かう。
もうあと2時間ほどで着くらしく、そこまでは今度こそ起きていようと決めて湊さんと話をしたおかげで無事に目的地に着くことが出来た。
今日は浴衣を着て2人で街中を歩くことになっていた。
食べ歩きや雑貨屋のある通りがあるらしい。
勿論というか、浴衣を着ようと言い出したのは湊さんだ。
最初は少し恥ずかしかったが湊さんの浴衣姿を見てみたくて結局OKしてしまった。
俺たちの泊まる旅館は浴衣を貸出しているらしく、一旦旅館に向かった。
昔からある旅館らしいが改装したらしく外装も内装も綺麗だ。
荷物を旅館の人に預けて、俺たちは浴衣に着替えた。
俺は紺色、湊さんは黒の浴衣で、湊さんによく似合っていた。
「似合ってるね、可愛い」
2人になった途端湊さんは俺にそう言ってきて、予想外の言葉に顔が赤くなるのを実感した。
「湊さんも…かっこいい、です」
かっこいい、なんて言うのが恥ずかしくて目を逸らして小声でそう言った。
「そ?ありがと」
ちゅ、と頬に振触れるようなキスをされて、思わず周りをきょろきょろと見回してしまって、湊さんはくすくすと笑っていた。
俺たちは旅館から少し歩いて目的の場所に着いた。
歩きながら、お腹が空いたからと言って出店で名物らしい団子を買って歩きながら食べた。
俺は餡子乗った団子だったから大丈夫だったけれど湊さんはみたらし団子だったから食べるのに苦労していた。
「あ、あそこのプリン美味そうじゃない?」
「ほんとだ」
「買う?あ、でもこっちのも…」
湊さんは食べ物ばかりで面白かったけれど、食べてばかりでは勿体ないから帰りに色々買っていこうと提案すると湊さんは頷いてくれた。
俺はどうせならちゃんと写真を撮っておこうと、スマホを取り出す。
湊さんの後ろ姿をいれて、写真を撮っていると、湊さんは振り返って何してんの、なんて言った。
俺の手を握って、早く行こうと湊さんは言ってまた歩き出した。
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