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青葉は腕のいい道具屋だ。真雪が望めばたいていのものを作ってくれる。聞くところによると、青葉の父親がボスの組織に大借金をして、その返済のために働いているという噂がある。その真偽は知らないが、青葉がボスに何かすごい弱みを握られているっぽいのは真雪にもわかる。
青葉は鈴を慎重に神楽鈴の台座につける。新しい鈴はもともとついていた古い鈴と見分けがつかなくなる。青葉の再現力は本当にすごいと思う。
仕上げに青葉が全体を布で磨き、それから白い布を敷いたトレイに置いた。
「わぁい」
真雪はそれを持って、腕を振った。シャンと鈴が鳴り、気持ちがスッキリする。
真雪はくるっと回りながら鈴を振り、そして部屋を一周した。
「行けそうか?」
青葉が聞いて、真雪は大きくうなずいた。
「うん。大丈夫そう」
「飯、食ってく時間ある?」
「ない。行こ。すぐ行かないと」
「俺、朝から食ってないんだけど」
「移動しながら食べて」
真雪はポケットから栄養バーを出して、青葉に投げた。
青葉はそれを受け取り、また眉間にシワを寄せてため息をついた。
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