第1話 キッカケ

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 やれやれ。  明日は仕事が入ってるというのに。  俺が勤める派遣会社から出てる送迎用のワゴンに、最寄りのコンビニから朝七時半に乗らなければならない。  おまけに明日の作業内容は引っ越し業者の補助。  体力だけは自信のある俺すら嫌いな業務だ。  しかも美空曰く、本人も今日は昼間に仕事があるため、終わってから夜の八時頃に駅前ロータリーで集合したいとの事。  「しょうがねえな」  結滞な不満を漏らしつつ、俺の内心では嬉しい一面もあった。  中学、高校はずっと陰キャ。  女と飯を食える場面など、中学時代の給食だけだった。  それも、食事中に会話など交わしても他愛の無い話題しか話した事がない。  そもそも、女から声を掛けてくるなど珍しい。  これは彼女が居ない俺にとって(かて)となるのか。  果て又、(あだ)となるか。  ……運命は、神のみぞ知る。  
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