Ⅰ 知らされる罪

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 そのために権威ある聖騎士(パラディン)に叙し、異例ながらも団長に大抜擢したのが、中流階級の騎士として貴族達としがらみがなく、なおかつ武勇にも秀でたハーソンだったというわけだ。  この国王の望みにハーソンも応え、現在、凡庸で使えない王侯貴族の師弟を騎士団から排すると、代わりに実力ある新団員を身分問わずに集めているのであった。 「なあに。俺も含め、すでに似たか寄ったかのはみ出し者ばかりが集まっているからな。言われても今さらな話だ。それに俺は陛下より全権を委任されている。横槍を入れられたら陛下に告げ口してお仕置きしてもらうさ」  アウグストの苦言に、ハーソンはニヒルな笑みをその端正な顔に浮かべると、そんなブラックな冗談を言ってどこ吹く風だ。 「我らの領地に関わる案件でもあるしな。ともかくも、事実を確認してみねば始まらん。応援要請も来てることだ。彼らよりも先にパウロスの身柄を確保しに行こう」  さらには即座に決断を下すと、やりかけの事務仕事もそのままに椅子から勢いよく立ち上がる。 「え! 今からですか?」 「ああ。この文面にみる執拗さ。先を越さればパウロスを殺されかねん。念のため、メデイアも一緒に連れて行こう……」  そして、唖然とするアウグストを置き去りにすると、自身は早々に執務室のドアを出て行ってしまった──。
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