何言ってるか分からない!(出会い編)

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何言ってるか分からない!(出会い編)

「えっ、、ちょっと何言ってるか分から無いんですけど…」 咄嗟に秋山の口をついて出たのがこの言葉だった。ふざけたつもりはないのだが、以外と人の本質をついた言葉なのかも知れない。一番シンプルに思ったままを言っていた。 「何もしねーよ。ただ一緒に寝てくれりゃあそれでいい」 「いやっ、でも狭いですし、第一休まりませんよ、…!!」 動揺する秋山の腕を掴んで八神は強引に己の布団の中に引き摺り込んだ。八神が弱っていると思っていた秋山の大きな誤算だった。 何せ八神には前科があった。それを今の今まで失念していたのだ。 しかも不覚にもバックを取られた。秋山は身を固くし、息を殺して八神の僅かな身動ぎにすら神経を研ぎ澄ませていた。 八神の身体は思った以上に熱かった。 「や、がみさ、ん、腕を緩めてください、苦しい、、」 そう言う秋山に八神は少しだけ腕を緩めると、その代わりに秋山の肩口に顔を埋めた。 「先生の匂いはシャンプーの匂いかと思ってたが、本当はこんな香りなんだな」 「やめてくれっ、風呂、入って無いんだ!」 秋山は八神に体臭を知られた事に激しく羞恥した。 八神はそんな秋山を知ってか知らずか、抱いた手が肉付きの薄い腹を確かめるようにやわやわと撫で回す。 「痩せてるな、先生。ちゃんと食ってるのか?」 「う、動かないで!セクハラで訴えますよ!」 「セクハラじゃねえよ、スキンシップだろう?」 秋山は殆ど逃げ腰になって、八神の腕の中から這い出ようともがいた。 「アンタとスキンシップなんかする必要性がどこにあるんだ!」 「ジタバタ煩せぇ奴だな。こっち来い」 そう言うと、いとも容易く布団の中へ引き戻され、八神自身の身体で押さえ込まれてしまった。 「八神さん!アンタ何もしないって言ったじゃ無いか!」 「何もしてねーだろう?それとも何か期待してる?」 その言葉に、一瞬だけそうなのか?と言う思いが秋山の脳裏を掠め、二の句を告げるタイミングを逸した。 その隙を狙うように、八神の唇が忍び入る。 男らしく弾力のある八神の唇が秋山の薄い唇を吸い上げる。強引な舌が歯列を割って口腔内を無遠慮に侵し、秋山の口の中いっぱいに八神で満たした。 秋山は抵抗をやめ、図らずも強引な八神の口付けに応えていた。 「…っ、はぁ…、八神さん。あんた、ホストモードになってる」 やっとキスから解放された秋山が喘ぎながら訴えると、八神は太い声音で笑った。 「ハハハっ、馬鹿言え、俺は客とキスなんかしねえ」 そう言いながら、八神の手がスルリと秋山の下着の下に忍び込んだ。小ぶりで引き締まったその尻を、八神の大きな手が揉みしだく。 「はっ、く…っ、やめ…っ! そこまで許した訳じゃ…!」 「時々アンタといると妙な気分になって来る。ちょいと俺と試してみねぇか」 「た、試すって何を…っ」 「試すって言ったらコレしかねぇだろう」 そう言うと、尻を這っていた手が前に回され、じわりと秋山の陽物を包んだ。ビクリと秋山の身体が戦慄した。まだ熟し切っていないソレは二、三度揺すっただけで、充実し始めていた。 「なぁんだ、先生も期待してたのか」 耳元でそう囁かれると秋山の全身が恥ずかしさにカッと熱くなり、八神の手の中でますますその質量が増した。 「世間も懐も寒すぎるが、こうして身体が二つあればあったまる。 そうだろう?先生…」 「…!はっ、ぁ…っ、…嘘つき!何もしないって言ったくせに!」 「なら、しなくていいのか?」 そう言うと八神は扱く手を止めてニヤリと笑い、耳朶や首筋を好きなように舐め散らかした。 「この…っ、卑怯者…!」 秋山は八神の初歩的な言葉攻めに翻弄されていた。 この前、酔った八神に唇を奪われた時よりまだ酷い。こんなのは強姦だと思いながらも、ここまで許してしまった自分がいる事も否めなかった。 これも身から出たサビと観念した秋山は八神が再び動いてくれるのを待っていた。 だが、八神は秋山の首筋に顔を埋めたままなかなか動かない。 段々八神の身体が重く秋山を押し潰し、あろう事か秋山の耳元で寝息を立て始めたのだ。 八神はやはり弱っていたのだ。 秋山を煽るだけ煽っておいて、一人だけ安らかな眠りの中へと八神は落ちて行った。 「嘘だろう?!なんて人だ!信じられない!」 途中で放り出された秋山の消えない残り火が、この日ずっと身体の中で燻り続けたのだった。 そしてまた、八神は出入り禁止を食らい、幾日かで顔の傷も癒えて変わらぬ日常へと溶け込んで行く筈だったのだが、思わぬ方へと事態は転がっていった。
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