灰色の世界

『今日の天気は曇りですが、にわか雨が降る恐れがあります。念のため、折りたたみ傘を持っていくと安心ですね』

朝の天気予報でそう告げる。

「傘持っていくか。よし、いってきまーす」

バッグに折りたたみ傘をしまい込み、家を出る。僕の声に返事がくることはないのには、もう慣れた。

親も友達もいない。
僕はひとり。

灰色の世界で今日も僕はいきるのだ。