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何度見返しても女の子はあの少女の笑顔だった。 どういう事なのか・・・ 思考力もままならならず震えた手でアルバムを閉じた。 するとお爺さんが僕を見つめながら、 「ユウコちゃんが虫の息でこう言ったんじゃ ”いつか兄ちゃんが訪ねて来たら伝えて... ウチはいつまでも待ってるって”」 それから僕はどうやってここ迄辿り着いたのか覚えていないのだけど海の方を見ると紅色の夕焼けが心残りでもあるかの様に低く広がり、校門前のガス灯の明かりは何故だか霧雨に包まれていた。 僕はお爺さんの話の続きを思い出していた。 「異変に気付いた家人達が狂った様に二人の兄妹の元に駆け寄ると手の施しようのない子供達を抱き締め 声にならないむせび泣きは地を揺らす程だったんじゃ しかしその内に仄かなガス灯の明かりは霧雨のように兄妹を包み込みキラキラと光を放って輝いておったのよ」 僕はその光景を見ていた。 霧雨に包まれたガス灯の下で僕は薄っすらと濡れた手で彼女の手を取りゆっくりと歩き出した。 「ねえ お腹空かない?」 僕が尋ねると、 「うん ずっとお腹空いてた」 彼女は脇腹に手を置いた。 「僕も実はそうなんだ」 「いつもやせ我慢するのね」 「うん でも もういいんだ 随分待たせてしまったけど こうして手を繋ぐ事が出来たし... もういいんだ」 僕達は星々が舞う夜道に浮かび上がったあの家に向かって歩き出していた。 完
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