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「きゃああああああああああ!?」
「なんだコレ、なんだコレ!?」
「揺れてる揺れてる揺れてるっ!!」
「ヤバいヤバいヤバいってえええええええ!!」
学校には、まだ部活動などで生徒達が多数残っていた。突然学園全体を揺り動かした大きな地震に、生徒達はみんな慌てふためいている。地面にはいつくばる者、慌てて机の下に潜り込む者、友人の心配をする者。
そしてリンジーは。
――なんて、魔力の気配……っ!
這いつくばるようにしながら、どうにか校舎の外へ出た。そして、目の前の光景に呆気に取られることになるのである。
「な、なっ……!?」
つい先程までは、校庭に目に見える異変はなかった。ひょっとしたらシャドウステップが数体彷徨いていたかもしれないが、その程度である。
今は違う。
テニスコート、野球グラウンド、サッカーコート、花壇、ベンチ――ありとあらゆるところに、黒い影が蠢いているのである。
ベンチの周りを、手を繋いでぐるぐると回るシャドウステップ。
屋上からふわふわと落ちてるくるシャドウステップ。
ひたすら、グラウンドの周囲をランニングでもするように走り回る者や、ごろんごろんと土の上をはしゃぐように転がる者。
触れたところで害はない。しかし、何十どころか何百以上の数の黒い影が、それぞれ魔方陣の軌道に沿って好き勝手に動き回っているのである。あまりにも異様な光景に、グラウンドで部活動をしていた生徒達が次々と逃げ出していた。先生達も予期せぬ出来事に混乱しているのか、うまく避難指示が出来ないでいるようだ。
――なんてことだ!本当に、魔方陣が作動して……!?
そういえば、ジャクリーンは犯人に心当たりがある様子だった。今日確かめてみると言っていたが、ひょっとして失敗したのだろうか。それで逆にキレられて、術の発動を許してしまったとか?
「!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、と何か重たい音がした。玄関の柱にしがみつきながらどうにか立ち上がったリンジーは、グラウンドの中央に大きな木のようなものが聳え立つのを目撃する。それは、真っ黒な大樹だった。異様なほどの邪気と魔力が、あの大樹から発信されている。
そして、その幹に埋め込まれているのは。
「ジャクリーンさっ……え?」
リンジーは、目を見開いた。幹に埋め込まれている少女と、同じ顔の少女がすぐ脇に佇んでいるのである。
ジャクリーンが、二人いるのだ。
――ど、どういうこと?ジャクリーンさんは、双子だったのか……!?
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