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最終的にその人間を異世界から呼ぶのが手っ取り早いということになり、彼女は“自分と入れ替わってジャクリーンになりきれるくらい、自分そっくりの人間”という条件で召喚魔法を発動したということ。
その結果、呼びだされてしまったのが彼方である、ということ。
「いやいやいやいやいやいやいやいや」
彼方はぶんぶんぶんぶん、と首を横に振って言った。
「突っ込みどころ満載すぎるんだけど!つか、そのアンタの卒業試験だろ、騎士集めもどう考えても試験内容に入ってんじゃねーか!自分でやれよ自分で!人任せにすんじゃねええ!!」
「う、うるさいわね!なんでわたくしが、男どもに媚びを売って、騎士になってくださいなんてお願いしなければなりませんの!?」
「そういう考え方が駄目なんだろうがよ!」
ああ、なんだか想像がついてしまった。こいつのツンデレと上から目線すぎる性格に辟易して、彼女の騎士とやらになってくれる男がまったく集まらなかったというオチだろう。騎士、とやらがどういうものなのか現時点ではまったくわからないが、名前からして共に戦うチームのようなものであるようだし。
「でもって異世界から人を無理やり拉致ってくるって発想になるのもおかしい!」
「この世界の人間を拉致したら足がつくじゃないの!異世界の人間は戸籍なんかないんだから楽でしょ!?」
「それ犯罪者の発想!!」
そもそもの話だ。
「それに、何でその条件で呼びだすのが俺なんだよ。年は確かに同じくらいみたいだけど、男と女だぞ、バレるだろ普通に」
そういう時は、そっくりな“女”が召喚されるものではなかろうか。何故、異性である自分が選ばれるのかさっぱりわからない――そう思ってジャクリーンを観察して、彼方は気が付いた。
ジャクリーンは、女性としては声が低い。大人の女性のハスキーボイスといったかんじだ。それに対して、彼方は男子中学生として考えた場合かなり声が高い方である。俗にいう、“女性役もできそうな某男性声優”みたいな声だと言われたこともあるほどに(声変わりは終わったはずなのだけれど)。ぶっちゃけ、ジャクリーンよりも自分の方が声が高いかもしれないほどだ。
でもって。ドレスでわかりづらいが、ジャクリーンは結構――。
「……ああ、なるほど。お前超貧乳なんだな、理解した」
「ううううううるさいですわよ!」
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