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十年後
優子は二十歳の時母親に家を追い出されてから僚付きの会社に就職をして一人で暮らしていた。
仕事は缶詰工場できつかったが、仕事仲間もいい人ばかりだったし、僚生活なので家賃は無料で光熱費も安かったので貯金もそこそこできていた。
近所には大きなスーパー銭湯もあるし、大きなスーパーもあり、大きな公園もあった。
優子は今会社の友人も出来て幸せに暮らしていた。
そんな時、ふと思うことは母の事だった。
「あの時、母に酷い事を言ってしまった。母は今どこで何をしているのだろうか?母は今、五十五歳だ元気でいるのだろうか?母親に謝りたい」
そんな事を考えていると僚のドアをノックする音が聞こえた。
「誰だろう?せっかくの休日でゆっくりと過ごしているのに」
優子は僚のドアを開けた。
そこには見知らぬ男の人が立っていた。
その男の人は優子に言った。
「葛城優子さんですね。私は京子さんに生前いろいろと頼まれていた司法書士の向井工事と言うものです。あなたは京子様の一人娘です。まずは相続についてお話したいと思いますので中に入ってもよろしいですか?」
優子は驚きながらも確認した。
「相続って?母は亡くなったんですか?」
向井工場は言った。「十年前から癌を患っていましてね。最近転移が見付かりまして、それからすぐに~残念ですが~」
優子は驚いた十年前~。
私が母の家から出たあの年に~母は~
優子は言葉を失った。
司法書士の向井工事は呆然としている優子の僚の一室で坦々と話を始めた。
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