家族になろう

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 そろそろおチビたちは寝る時間だ、とのことでその日は解散した。片付けている間も希柚は怜空と楽しそうに喋っていた。ふたりは「あそぼうね!」と約束して笑顔で別れる。昴は実家にタクシーを呼ぶと横浜方面へ走らせた。  「どこいくの?」  「今夜は3人で寝られるところ」  「やったあ!」  希柚は大はしゃぎだ。ずっと「ぱぱはいついっしょにすむの?」と気にしていたこともある。希柚にはきちんと「今3人で住めるお家を探しているからもう少し待ってね」と伝えていたがやはり3人一緒に過ごせることは嬉しいようだ。タクシーの中で希柚を宥めるのが大変だった。  10分ほど走り、横浜のラグジュアリーなホテルに到着した。しかし希柚はずっとはしゃぎっぱなしだったせいでお風呂に入るとポテンと寝てしまった。その希柚を2台あるうちのひとつのベッドへ寝かせる。  「……よく取れたのね」  今はふたり、あの日と同じく窓から景色を眺めていた。東京タワーは見えないけど、藍色の空に浮かぶ輝きはとても賑やかだ。こんな景色のいい部屋、ましてや間もなくクリスマスのこの時期の休日に部屋が取れたことに樹莉は驚いた。  「六菱が建てたホテルだしな」  「そうなの?」  「うん。社員であるうちに一度ぐらい権利を使っておこうと思って」  昴は小さく笑いながら樹莉を後ろから抱きしめる。樹莉はその腕に両手をかけた。  「…あのさ、結婚式しようか」    樹莉は昴の言葉に目を丸くする。まさか今になってするという考えもなかった。  「今更かもしれないけど、樹莉のドレス姿を見たかったなと思ってさ。それにお義母さんにも見せてあげたい。希柚もお揃いにしてさ。身内だけの小さなものだけど」  どうかな、と昴が笑う。  きっと希柚も母も喜ぶだろう。  樹莉は小さく「うん」と頷くと昴の肩にもたれかかる。落ちてきた影に微笑んで静かに瞼を閉じた。    
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