本編

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【何も聞こえない。誰もいない。本当に自分一人しかいない感じ】 高橋くんは【うまく言えない】と困ったように笑った。 【ごめんね、こんな話、聞きたくなかったよね。ごめん】 【ううん、困らないよ。だって】 自分から誰かに話す日が来るとは思わなかった。 【私もね、前にいた学校でいじめられていたの】 私の言葉に、高橋くんは鋭く息を飲む。 【その話、俺が聞いてもいいのー…?】 【聞いてくれるなら聞いてほしい】 【無理していない? 俺が話したからって、話さなくていいんだよ……?】 【無理してないよ。高橋くんだから、話したいって思ったんだよ】 彼の返事を見て、私は速くなった鼓動を静めるために息を大きく吸う。 2ヶ月少し前のある日、私は中学生の時からずっと仲の良かった親友2人を失った。
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