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「あー、マジで助かった。ありがとうな」
「ううん、確かに悩むよね。私もお父さんにプレゼント、ってなったら、ネクタイしか思いつかないもん」
私の答えに陶山は「だよなあ、難しいよなあ」と明るく笑った。
「あ、そうだ」
教室に向かって歩き出した時、陶山はピタリと足を止めた。
「この話、みんなには秘密にしておいてくれる?」
「秘密?」
「うん、なんだか母さんの誕生日プレゼントで悩んでいるって知られるの、恥ずかしい。というか絶対に知られたくない」
「なにそれ」
別に恥ずかしいことでもカッコ悪いことでもないんだけどなあ、と思いつつ「わかったよ」と返す。きっと男の子には、男の子にしかわからない”恥ずかしさ”があるんだろう。
「やっぱり泉本だわ。マジでありがと」
「ありがとう。でも褒めてもなにも出てこないよ?」
「あ、それは残念」
陶山は悪戯っぽく笑った。
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