本編

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「涼音」 残った佳奈美の目を見て、もう私は彼女たちと親友ではいられないかもしれないと思った。 それぐらい、佳奈美の目は冷めきっていた。 「なにか事情があったとしても、これはダメでしょ。千枝が陶山のこと好きだってことも、千枝が陶山と涼音の仲を気にしていたことも、知ってたじゃん。知ってたのにこれはひどいでしょ」 佳奈美のいうことはわかる。だから何も言い返せない。 「最低だね。そんな人だと思わなかった」 千枝と同じように、佳奈美は吐き捨てるように言った。 大きな音を立てて閉められた教室のドアが背中で聞こえた。
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