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「天使がみえる人間なんて珍しいこともあるもんだな。」 天使の少年は占い師の女性と別れ、地面の近くを飛んでいた。人間は天使をみることはできない、そして触れることもできない。 「さて、今日の仕事は…」 彼は空き地の前を通りかかり、そこに猫がいることに気づいた。 「ん?弱ったトラ猫だ。あれは…もうダメだな。よし、魂を天界に連れていこう。」 猫にそーっと近づく。そして魂に触れるため、猫に手を伸ばした。 「…猫さん、お迎えだよ…わ、ぎゃっ!」 「どうしたのさ、大の字になっちゃって。ボロボロじゃん。」 先程の占い師が空き地の真ん中で寝転がる天使を見つけた。彼女は近づいてしゃがむと天使に声をかける。 「あぁ、また会ったな…油断したよ…あのトラ猫、悪魔だった。」 疲れたように天使が声をだした。 「最近噂になっているんだ。悪魔が人間の魂を傷つけているって。まさか猫の姿だったとは。」 天使はふぅっと大きく息をはいた。 「そっちは噂になってるんだ…魂が傷つくとどうなるの?」 「生きる希望をなくしちまう。とにかく捕まえないと。どうしようかなぁ…」 じーっ 占い師が天使を見つめる。 「…なに。」 天使はちょっと不機嫌に答えた。 「一緒にいくと吉。私もついて行く。いろいろアドバイスして捕まえるのを手伝うよ。」 任せて!と占い師は胸をたたく。 「ダメだ、危ない。悪魔にとって人間は獲物。人間の魂を傷つける。特に悪いやつは天使を消滅させる。普段、天使と悪魔はお互い干渉しないけど、猫だから分からないんだ。」 天使は起き上がりながら答えた。座った状態で羽を震わせ、大きくのびをする。 「へぇ~動物の悪魔もいるんだ~。」 占い師は立ち上がって、同じように大きくのびをする。 「おれ、もっと攻撃されてたら消滅してたかも。」 「ふぅん…まぁとりあえず探そう、あっちかな!ほら立って立って!」 「話聞けよぉ…」
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