オフシーズン

15/15
前へ
/93ページ
次へ
航 side なんなんだよ 瑞久ちゃんはいいけど あいつもずっとこっち見て ニヤニヤした顔がムカつく 野球部は午後からの練習で 女子サッカー部と 陸上部が終わればグランドを使える 今は12時前 後輩達と一緒に 使う道具を出しすぐに使えるよう準備し 3年生の先輩達は 素振りをしている 昨日は あいつのせいで… 相澤 千佳とは 中学1年の時に同じクラスになり それからずっと友達で たまたま同じ高校を受験したと思っていたが違ったみたいだ 春休みの部活帰り 帰るタイミングが一緒になり 信号待ちで 話があると言われ 思い詰めた表情に 野球部のマネを辞めるのかと勘違いをし 今まで一緒にやってきた仲間だから 俺が少しでも力になれる事があるならと 駅前のファストフード店へ マネージャーは大変だから 「何でも協力するから 俺に頼ってくれ」 「…友達からで良いから…付き合って」 「どこにでも付き合う…よ?…ん? 今なんて?」 「…付き合って…欲しい」 「…それは…お付き合いする 的な?」 「…うん」 「俺と?」 頷き答える 「…………」 相澤の事は 嫌いじゃない 一緒に居ても イヤじゃない 全くモテない俺に 告白してくれる貴重な存在 これはチャンスなのでは? 「…つ 付き合おう」 「え?」 「友達から付き合おう」 「いいの?」 「よろしく」 手を出し 相澤も手を出し 握手する 「よろしくね」 そして 一緒に帰ったり 相澤と居て楽しいから 俺んちでしゃべったり友達から親友のような関係が続いている 今 自分の部屋に 千佳が居て 野球部のマネをしていて いつも元気いっぱいの彼女だけど 今日は なんか違って あの時と似た深刻な表情に ベッドサイドへ座らせ 俺も隣に座る 「千佳が思ってる事 聞きたい」 「……友達から 関係を…」 「…うん」 「航と もっと…距離を縮めたい」 「俺達はずっと友達で 付き合ってるのに 親友の様な関係が 楽しくて 逆に千佳を不安にさせてたんやな 千佳とこれからもずっと一緒に居たいし 大事だと思ってる 言葉が足りなくて ごめん」 「…航」 「千佳 好きだ」 「!! 私も 航が好き!」 昨日 あいつの大きなお世話で 千佳と…その…キスをした そしてまた お互いに思ってる事を話し それ以上に仲良くなった さすがにそれ以上はしてない あいつみたいに 手は早くない いつかは 千佳とそうなりたいと思ってるけど… あいつは 将来結婚するって言ってたけど…瑞久ちゃんは不安じゃないのかな? 今度聞いてみよう
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加