3月27日

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…… 混雑したバスの中 瑞久が 私の腰辺りのジャケットを掴み 吸い込まれるような そのまっすぐな瞳にじっと見つめられ …瑞久の唇を奪いたい 本音が漏れそうに 微かな理性に助けられた ここはバスの中 周りに人が沢山居るのに 何考えてるんだっ 冷静に 「瑞久さん 照れます…」 視線を外し うつむいた瑞久 小さな声で 「…バカ」 その仕草に とてつもなく興奮し 身体が反応する 恥ずかしそうにする姿に ヤバい 落ち着け 無の境地へ 悟りを開け いや 違う 私は考えすぎる性格ではない 慎重さや多面的な視点で物事をみることができるほど優れてはいない これは 相手が瑞久だからこそ 瑞久にしか反応しない だから この状況を否定せず受け入れる ポジティブに これは正常な事なのだ でも 行動する事はダメだ 痴漢と勘違いされ 私が捕まってしまう こんな理由(わけ)の分からない事を考えていたら 東寺東門前に着いた バスを降りると 人が多く瑞久と離れないよう手を繋ぐ 桜は 満開に近く ライトアップされた迫力ある五重塔と 桜が作り出す美しい景色 ほんとタイミング良かったよ 池の周りには足を止める人が多く居るから 瑞久とゆっくり歩く たくさんの桜を色んな角度から見て楽しめ 来てよかったぁ 瑞久が桜を見上げている 絵になるなぁ ポケットからスマホを取り カシャッ 「えっ 今撮った?」 「うん」 「もう〜 二人で撮ろうよ」 「そうやな」 瑞久と顔を近づけ 桜も入るように… 私ってこんなに顔大きかったっけ? 「瑞久」 「何?」 「横に来てよっ」 「え〜(笑)」 瑞久を掴まえて 自分より前にすると やだぁー 可愛くないと言うから 私のニヤけた顔の方がひどいよ 瑞久さん 何言っちゃってるの!?
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