3月27日

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里都 side 今日は 妹と会うから 帰れるうちに 職場の病院を出て 車に乗る 以前はワンルームに住んでいて 帰って寝るだけの部屋だったけど 先月 職場から3キロ離れた場所へ引っ越した 築年数18年の低層のマンションは 立地が良く メンテナンスもしっかりしていて 内装をリノベーションできた事が大きく 落ち着いた時間を過ごす場所ができた 予約していたお店はマンションの近くで 駐車場へ車を停め 歩いて向かう 「いらっしゃいませ」 「少し早いのですが 大丈夫ですか?」 「大丈夫ですよ ご案内致します」 「ありがとうございます」 個室へ入り 「妃奈(ひな)ちゃん 朝ご飯完食してました」 「嫌いなものがなかったのかも?(笑) 先生 いつも気にかけてくれてありがとう」 「いえ 私は何も」 「先生 妹さんとゆっくりしていってね」 「はい ありがとうございます」 真奈(まな)さんが出ていき 一人になると 目を閉じぼーっとする 15分程して 戸の外から声が聞こえ 来たかな 「 里都(りと)ちゃん!」 5つ下の妹へ 「瑞久 ニ週間ぶり(笑)」 「もう…言ってくれたらいいのに」 可愛い妹を驚かせたくて 蒼に黙っててと伝えていた 「夜勤明けだったから 会えるか分からなかったし」 「そっか お仕事ご苦労さま」 「瑞久 何食べる?」 メニューを見せていたら 蒼が立ったままで 「あの〜 私の存在忘れてません?」 「蒼 そっち座っていいよ」 「…はい」 一度 瑞久へのプレゼントを提案したら なにかにつけて 相談してくる様になり蒼には沢山の貸しがある 赤ちゃんの時から大事にしてきた可愛い妹が好きになった相手が蒼だと知った時は…複雑だったが 人を好きになるのに理由なんてないのをわかっているから…瑞久が幸せならいいと考えて 一応 二人の事は見守ると決めた 蒼が関東へ行くことになった時は心配したが この一年二人の関係はうまくいっていたみたいだし そして 今回 蒼が海外へ 二人の様子は… 蒼 なんだその…咬み傷は!? 妹がつけたと… お前たちはどんな… 想像するのは野暮だな 妹が幸せなら 私が口出すことではない 蒼も小さい頃から見ていて ちびっこやったのに 今は 海外でプレイするサッカー選手に 調子に乗るような奴ではないし 瑞久を悲しませるような事はしないと思うが もし そんな事があったらどうなるかは伝えてある 帰ってくる時は連絡する様にも言ってるし 7ヶ月はあっという間だろう 注文した料理がくると 先に瑞久へ食べさせる 「…美味しい」 私もここへ来て 初めてそう思った 蒼も疑っていたが 「…!」 いい顔になった(笑) ほんとにここは何でも美味しい 右手にお箸 左手にパンを持っていたから 「蒼 がっつき過ぎ(笑)」 「すみません お腹空いているもので」 瑞久も笑顔で食べていて ここへ連れてきて良かった
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