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瑞久 side
◇
10月末
アオが所属しているチームが プレーオフへ進出し
◇
11月
準決勝へ進んだが 負けてしまった
◇
金曜日の夜
シーズンが終わり アオが帰ってきた
一番先に 私へ会いに来てくれて
アオにぎゅっと抱きつく
肩口に顔を埋め
アオの温もりにやっと安心する
私がやっと満足して 顔を上げる
「瑞久 後ろ向いて」
「?…」
何か開ける音が聞こえ
あっ 目の前にネックレスが見え
髪をまとめてあげる
去年もらったネックレスと重ねて着けてもらい
振り返り
「似合ってる
遅くなったけど…誕生日おめでとう」
「ありがとう」
誕生日は過ぎたけど アオに直接言われ 今日でもいいって思えた
鏡を見て 更に気分が上がる
11月の誕生石シトリンと ダイヤモンドをあしらったネックレスだった
美しい彩りのあるネックレスに似合う大人になりたいと思う
そして
「瑞久 話がある」
真剣な表情に
ぐっと身体に力を入れた
「フランスのサッカークラブへ移籍する事にした」
「う?…ん」
「明日の夜出発して───」
へ?
「……」
「瑞久?」
「…ん」
「今 シーズン中で ウィンターブレイクが12月の第2週からやねん その頃帰ってくる予定です」
「…はい」
「瑞久 明日の予定は?」
「休講で午前中はないけど 昼からゼミ」
「それまで時間もらっていい?」
「え?あぁ うん」
階下へ行きママ達に
こっちへ帰って来る前に話があって──フランスのサッカークラブと契約の為 明日の夜出発するので 今から瑞久とホテルへ泊まりますと宣言し
私の部屋へ戻り 着替えを持って家を出た
玄関で ママとパパが笑顔だったのが なんか…ねぇ
いつの間にタクシー呼んだの!?
何が食べたいか聞かれ
パスタと答え
アオが行き先を告げ
走り出す
アオの話をちゃんと聞いてなかったので ママ達に言ってくれた時 やっと自分の中に入ってきた
9月から翌年の6月までの間がシーズンで国によって違うと教えてもらい
やっと落ち着いて考えられる様に
「アオ」
「今ね 大学で臨床医学の授業がはじまって 病気や異常の診断方法や治療法を学んでるの」
「けっこう難しい?」
「うん…科目もたくさんあってこれからの時期が一番忙しくなるかな」
「頑張ってるんやな
勝手に決めてごめんな 大変な時やのに 時間もらって…」
「ううん アオとの時間は 私にとって大事だから」
「ありがとう瑞久」
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