オフシーズン

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蒼 side 大学の前で 瑞久を待っていたら 「すみません」 スマホから顔を上げ 「はい?」 目の前の 知らない人達を見る 「今 何時ですか?」 「えっと…3時55分です」 「ありがとうございます」 もう一人の女性が 「何してるんですか?」 「人を待ってます」 ストーカーに見えてないよな 「それまで 話しません?」 なんで? 「あの… もう来ると思うので すみません」 やんわり断る 最初に声を掛けられた人に 「来るまでいいよね?」 強引だな 「…」 「君 可愛いね 何歳?」 !! 腕を触られ びっくりする 「私達は 二十歳──」 「アオ!」 少し遠くから瑞久に呼ばれ 「彼女来たんで 失礼します」 すぐに瑞久の方へ歩き出す 勢いよく抱きつかれ しっかり抱き留め めっちゃ嬉しいけど 顔に出さず クールにお疲れと言い 離れると 瑞久の怒りを露にした表情に ヤバッ すぐに対応しなければ 大変な事になると脳が処理する回転数をあげる 慌てたが 瑞久が怒るってことは それだけ私の事が好きだからだよな 冷静に 余裕を持って 瑞久に話しかける それでも怒りが収まらない瑞久は 駅へ歩き出す すぐに追いかけ 安心させたくて 少し強引になったが 瑞久と手を繋ぐ 呆れて 諦めてくれたのか 嫌がらず私の隣に居てくれて 恋人繋ぎにしても怒られないから デートしてくれるのかな? 改札を抜けて また手を繋ぐ こっちを見てくれないから 私がずっと瑞久を見ていられていい にやけた顔を手で押さえ元に戻す 電車内で 瑞久がもたれてきて 見たら 何か考えてるのか視線が合わないが 上目遣いの瑞久は…マジで可愛い 唇も美味しそうな プルプルで ムラムラしてきて 食べたくなった 耳元で 「ヤバい その顔」 「…?」 「瑞久 降りるから」 「え?…」 電車を降り 「どこ行くの?」 「2人だけになりたい」 「?…///」 理解してくれて良かった 一瞬手に力を入れ足を止めたが 付いて来てくれた 改札を出て 手を繋いだままスマホで検索 5分程歩けばラブなホテルがあるらしい 「瑞久 嫌じゃない?」 「…」 俯きながらも頷いてくれて 周りに見られるのも嫌かと思い カーキ色のバケットハットを被せ歩き出す 瑞久は 黒のクラシックなトップスに きれいめホワイトのパンツを合わせてエレガントな装い 合わないけど…まぁ今だけだしいいか 「行こう」 「…」 そんな所へ入るのは初めてだけど 家じゃ無理だし ずっと我慢出来る状況じゃない 来たことない場所だし 知り合いに会う事もないだろうから 勢いって大事だよな 恥ずかしそうにしている瑞久を気にしながらも 気持ちは飛び跳ねている シンプルな白いタイルの外観だったけど 中は少し暗く 部屋の写真が沢山あって …こうなってるのか 下に金額が書かれていて休憩とか宿泊とか 「瑞久 どれにする?」 「な なんでもいい 早く行こう」 瑞久は私の腕につかまって不安げだ 適当に部屋のボタンを押すと 隣のエレベーターが開いた 勝手にその階に止まり通路の奥が光っていて あの部屋へ入るのか
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