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「それ! 絶対良いよ!」
夏美は目を爛々に輝かせて私の手をぶんぶんと振った。
「いや、だって……そんな簡単に叶う約束じゃないし……無理だって……」
勢いに圧倒される私を他所に、夏美の頭の中ではどんどん計画が組み立てられているようだった。
私の声なんて少しも聞こえていない様で、駅に着くまでの間ずっと黙っていた夏美は電車が到着した瞬間大声をあげた。
「できるよ百合!」
「え……? できるって何が?」
「さっきの話! 私たちで作ればいいんだよ!」
結局電車を乗り過ごしてしまって、次の電車までの数十分は、
無理、できる、無理、できる、無理、できるできるできる!!
というやりとりであっという間に過ぎていった。
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