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やがて私たちは高校二年生になり、嫌でも将来というものを意識させられた。
クラスメイト達の半分は大学に進学するようで、もう半分は就職、専門学校、家業の手伝いといった風だった。
ここが東京なら大学の進学率はもっと高いのかもしれないけど、田舎には何もない。
私はいまだ自分の将来を決められずにいた。
夏美は早くから受験モードに入っていて遊ぶ機会は段々減ってしまった。
学校からの帰り道、最上川に沿ってだらだらと歩きながら話すのが私の大好きな時間だったのに、それすらも段々と少なくなっていって。
学校でも進学組の子たちと色々話をしているので、次第に距離が離れていってしまった。
未来が私たちから今を奪っていく。
白いため息を吐きとぼとぼ家に帰ると、
「ゆりちゃん、おかえりぃ」
と、居間から祖母のか細い声が聞こえてきて、私は顔も向けずに
「……ただいま」
とぶっきらぼうに答えた。
部屋に入りベッドの上で仰向けになっていると、居間の方から懐かしい曲が聴こえてくる。
記憶の彼方と同じく哀愁漂うメロディーをストリングスが彩っていく。
窓から差す茜色の陽の中。
どこか悲しい歌詞を無意識に口ずさみながら目を瞑っていたら、突然バタンっと大きな音が聞こえた。
何事かと思い廊下を駆けていくと、祖母が畳の上に倒れていた。
「おばあちゃん? ……おばあちゃん!!」
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