百年越しの声

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いつものように、朝のホームルームの時間ギリギリに教室に入る。生徒たちの話し声が聞こえる。どうでもいいことだ。チャイムが鳴る。担任と女子生徒が、教室に入ってきた。遅刻ギリギリだぞ、と担任が注意すると、女子生徒が「ごめんなさい」と笑って謝った。その声に懐かしさを覚えた。瞬間、改変後の記憶が流れる。改変前にはいなかった生徒だ。女子生徒の顔をまじまじと見つめてしまっていた。女子生徒は僕の隣の席に座る。改変前は隣の席なんてなかったはずだ。 「どうしたの?」 「あ、いや」 琴音。それが彼女の名前だ。植え付けられた記憶が僕に教える。まさか琴音は、鈴音の……。
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