百年越しの声

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一度でいいから、直接、会って話がしたかった。 『『会いたかった』』 鈴音の声と重なった気がした。鈴音、と声をかけたが、返事はない。気のせい、なのか。とりあえず、ホームルームになる。現実に集中しなければ。それから教師たちの話を聞いていたのだろう。だが、午前中、まともに話を聞いた記憶がなかった。 午後。日本史の授業になり、教科書をパラパラとめくる。前回はどこまでだっただろうか。力なくページをめくる。その時、ある仮説に気づいた。そうだ。昔の病気なら、現代の医療で治る可能性はないのか? 「やってやる」 その日、僕は歴史の改変を、運命を捻じ曲げる決断をした。放課後になり、僕は図書館に寄る。 『光。学校は終わりましたか?』 『ああ。それより、鈴音の病気について知りたいんだけど』 『え。ど、どうして、ですか』
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