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『どうして、ここまでしてくれるんですか』
『前に言っただろ。鈴音に長生きしてほしいから』
『でも、仮にわたしが長生きしても、光には何の得もありません』
『そうかな』
『そうですよ』
『好きな人が長生きしてくれるっていうのは、嬉しいことだよ。それだけで得だし、そもそも損得で動いてない』
『わたしのこと、想ってくれているんですか』
そういえば、こうして直接、伝えたことはなかった。僕は笑みを浮かべて答える。
『何とも思ってない相手に、ここまではできないよ。だからさ、長生きしてよ。それで、幸せになってほしい。幸せになる努力をしてほしい。例え不幸な出来事が待っていたとしても』
一方的な願いだということはわかっていた。それでも、伝えずにはいられなかった。きっと鈴音なら、僕の願いを尊重してくれる。けれど、それはある意味、呪いなのかもしれない。僕の言葉が、鈴音の行動を縛り、そして呪う。
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