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にっと笑んで掲げられた小箱。どうやらスイーツを持ってきてくれたらしい。
二人で台所に降りて、マオは小皿とフォークの用意を、私はティーカップを並べ、ポットで紅茶を蒸らす。
その間に選ぶかと、マオが小箱を開けた。
収められていたのは、ひとつひとつ透明な小袋に包まれた、カット済みのシフォンケーキが四つ。
優しい卵色に、うっすら茶色かがったもの。
チョコレート色のものに、マーブル模様と見た目も可愛らしい。
「鎌倉しふぉんって聞いたことあるか? レンバイ……鎌倉駅東口からすぐの、鎌倉農協連即売所ってとこに入っているんだがな、これがまた幽世でも大人気なもんで、定期的に卸してんだ」
マオはシフォンケーキをひとつずつ指さし、
「こっちが定番のプレーン、んで、人気の高いロイヤルミルクティー。こっちはチョコレートで、この模様になっているのはコーヒーだ」
どれにする? と首を傾げるマオを見上げ、
「私が選んでいいんですか?」
「ああ、何個でもどうぞ。全部だって構わないぞ?」
「いえ、さすがにそれは」
フルフルと首を振ると、マオは「そうか」とおかしそうに笑う。
(優しいな……)
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