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「最後にウエットティッシュで拭いて、お終いです。これならまたはみ出ちゃった時も、風斗くんが自分で綺麗にできますか?」
「うん! 自分でできる! じゃあまたかくね!」
笑顔で再びお絵かきを始めた風斗くんが微笑ましい。
立ち上がると、マオと沙雪さんが驚いたように目を丸めていた。
「牛乳で落ちるものなのですね……」
「机やフローリングといった表面がつるりとしたもの限定ですが。牛乳のたんぱく質などの脂質が、クレヨンの油分を吸収してくれるそうです。でもやっぱり水分が多いので、カーペットや壁でしたら、クレンジングオイルのほうが向いているかと」
「そうだったんですね。全然知りませんで……この机で風斗もご飯やおやつを食べるので、メイク落としより安心です」
「身近なものでも、思いもしない事実が隠れていることってありますよね」
「思いもしない、事実……」
沙雪さんが目を伏せる。あれ、と過った刹那、
「さっそくお手柄だな、茉優。俺も覚えておかなきゃな」
「っ、はい。祖母のおかげですね。……って沙雪さん、お時間大丈夫ですか?」
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