最初の依頼者は雪女の血族のようです

7/19
前へ
/239ページ
次へ
「最後にウエットティッシュで拭いて、お終いです。これならまたはみ出ちゃった時も、風斗くんが自分で綺麗にできますか?」 「うん! 自分でできる! じゃあまたかくね!」  笑顔で再びお絵かきを始めた風斗くんが微笑ましい。  立ち上がると、マオと沙雪さんが驚いたように目を丸めていた。 「牛乳で落ちるものなのですね……」 「机やフローリングといった表面がつるりとしたもの限定ですが。牛乳のたんぱく質などの脂質が、クレヨンの油分を吸収してくれるそうです。でもやっぱり水分が多いので、カーペットや壁でしたら、クレンジングオイルのほうが向いているかと」 「そうだったんですね。全然知りませんで……この机で風斗もご飯やおやつを食べるので、メイク落としより安心です」 「身近なものでも、思いもしない事実が隠れていることってありますよね」 「思いもしない、事実……」  沙雪さんが目を伏せる。あれ、と過った刹那、 「さっそくお手柄だな、茉優。俺も覚えておかなきゃな」 「っ、はい。祖母のおかげですね。……って沙雪さん、お時間大丈夫ですか?」
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加