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あ、と時計を確認した沙雪さんの表情から察するに、ギリギリだったのだろう。
時刻は十七時半。よろしくお願いします、と後を任された私達は、ひとまず役割を分担することにした。
私は夕食の支度を、マオは風斗くんの遊び相手を。
(ハンバーグは作ってくれているから、サラダとスープを追加しようかな)
先ほど冷蔵庫を開けた時に見えた山盛りのハンバーグを思い出しながら、献立を考える。
(ハンバーグといえば……)
ふと、先ほどの風斗くんの呟きを思い出した。
(もしかして、風斗くんはハンバーグが苦手……?)
気づけばお絵かきを終え、今度はマオとジグソーパズルに挑戦中な風斗くんに声をかける。
「風斗くん、夜ご飯はお母さんが作ってくれたハンバーグに、サラダとお野菜スープにしようかなって思っているんですが、嫌いなモノってありますか?」
風斗くんは難しい顔をして黙り込んでから、
「……ぼく、ハンバーグ、たべたくない」
「ハンバーグが嫌いなのか?」
訊ねるマオに、風斗くんは「きらいじゃないけど……」とやはり顔の中心に皺を寄せながら、
「ハンバーグがすきなのは、パパだから」
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