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「いえ! マオさんとは婚姻関係はありませんし、いうなれば雇用主と従業員の関係で……」
「俺はいつパパとママになってもいいんだけどな。今のところ、俺が一歩的に好いてるかんじだなあ」
「おねえちゃんがおにいちゃんを好きじゃないってこと?」
「いえ、好きではないということではないのですが……っ」
「じゃあなんでパパとママにならないの?」
「それは……」
六歳、なかなか難しい……!
あわあわと言葉に詰まった刹那、マオさんが「キミのパパとママは、それだけお互いだ大好きだってことだ。素敵じゃないか」と助け舟を出してくれた。
と、風斗くんの手が止まる。
「……パパ、ママのことだいすきじゃないのかも」
「風斗くん?」
彼は俯く瞳をじわりと滲ませて、
「パパ、ママにうそついてるんだ。だからママ……きょう、お外にいってるんだとおもう」
どういう、ことだろう。
戸惑いに目を合わせた私とマオに、風斗くんは悲し気な顔でぽつりぽつりと話し出した。
五日前、友達との会話からお父さんの会社をどうしても見たくなった風斗くんは、沙雪さんに品川の会社前まで連れていってもらったという。
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