最初の依頼者は雪女の血族のようです

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 そこで、たまたま顔見知りの社員が出てきた。挨拶をする二人に、その人はひどく驚いて、お父さんは午後休をとっているのだと教えられた。  沙雪さんは、ショックを受けていた。知らなかったから。  おまけに近頃は残業もほとんどないと言うが、お父さんは連日、風斗くんが寝る頃になって帰ってきている。  明らかに動揺した様子の沙雪さんと帰宅し、ぎこちないながらもいつも通りに夜を過ごしながら、父親の帰りを待った。  帰ってきたのはやっぱり、風斗くんの眠る前。  それも、いつものように会社から帰ってきた口振りで話していたのだ。 「ママ、あれから元気がなくって……。パパにはあの日のこと、ぜったい言っちゃダメっていうし」  ぼくがわるいんだ、と。  風斗くんの目からぼたりと雫が落ちる。 「ぼくがパパの会社にいきたいなんて言わなきゃ、ママも元気なままだったのに。ママ、もうすぐたんじょうびなのに、ずっと、かなしそうなままで……」 (それって、まさか)  浮気、という言葉が過る。  けれど風斗くんに言えるわけがない。 『思いもしない、事実……』  あの時の憂いた表情は、そういう理由が。
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