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「ママ、もうすぐ誕生日なのか」
宥めるようなマオの声に、はっと意識を眼前に移す。
マオは風斗くんの顔をテッシュで拭きながら、
「ママはなにが好きなんだ?」
「……りんごのシフォンケーキ。きょねんのおたんじょうびは、ぼくもいっしょにお手伝いしてやいたんだよ」
ほら、と指さした先には、壁に飾られた写真。
数枚が並ぶ中央には三枚の写真が飾られていて、どうやら三人のそれぞれの誕生日を祝った時のよう。
マオは「そうか」と風斗くんの頭を撫で、
「なら、ご飯食べ終わったら、ママの大好きなりんごのシフォンケーキの絵を描くか。それで、"おたんじょうびおめでとう"っていれてさ、誕生日にサプライズでプレゼントしてあげてみたら、喜んでくれるかもしれないぞ」
「……かく」
「うし、じゃあまずはしっかり食べないとな。風斗まで元気がなくなっちまったら、ママを笑わせられる人がいなくなっちまうだろ?」
「……うん」
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