最初の依頼者は雪女の血族のようです

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 というのも、訪問していたわけではなく。正純さんが会社を出て来るまで、定時の時刻から物陰でこっそり伺っていたらしい。 「夫とは、品川の居酒屋でたまたま隣り合った席で……それで、意気投合したんです」  沙雪さんの二歳年上。眼鏡をかけていて、壁にならぶ写真の数々からは、優しく誠実な人に見える。 「優しい人なんです。昔から。結婚してからも、風斗が産まれてからも、私と風斗をとても大切にしてくれて……。だから、今回のことが、本当に信じられなくて」  口元を覆いながら、沙雪さんはスマホで一枚の写真を見せてくれた。  映っているのは沙雪さんと正純さん、風斗くんと、その肩に手を置いて笑う、親し気な女性。  セミロングの髪は沙雪さんよりも明るいオレンジブラウンで、化粧も服装もクールな印象を受ける。 「彼女は桜田菜々(さくらだなな)っていいます。私の、中学からの親友です」  昔からハッキリした性格で、快活な彼女が大好きだった沙雪さんは、今でも四人で遊びに出かけるくらい仲がいいのだという。
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