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「マオさんは、知られなければ良かったと?」
「今回の件は、旦那の目的次第ではあるけれどな。ただ、"嘘をつく"という行為自体の話なら、俺は悪だとは思わない。……この世には、幸せでいるために必要な嘘ってのもあるからな」
それでも、と。マオは眉間に皺を寄せ、言葉を紡ぐ、
「気付かれちまったら、嘘は嘘にしかならない。理由がなんであれ、相手は裏切られたと感じ、信用を失う。疑念は心を蝕み続けるものだ。それでもその打ちのめされた心で、"嘘"ごと愛することが出来ないのなら、"真実"と向き合うしかないだろうな」
車内を照らしては駆けていく明かりが、マオの赤い目に光を灯しては消えていく。
マオは、"幸せでいるために必要な嘘"をつかれたのだろうか、それとも。
途端、マオは「だがまあ」といつもの笑顔をぱっと咲かせ、
「浮気って点についてなら、俺の場合、死んでもあり得ないからな。安心して俺を好きになってくれて平気だぞ」
「な……っ」
「いや、もう好いてはくれているんだったか? "好きではないということではない"って言ってくれてたもんな」
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