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すると、ほどなくして部屋に明かりが灯った。
「そんな……正純さんと菜々さんは、本当に浮気をしてたってことですか」
「……実際に見てみるまでは、まだわからないぞ」
「実際に見るって……部屋の中をですか? そんなこと」
「なあに、俺に任せておけ」
途端、ボフンとあがった白煙。まさか、と足下へ視線を落とすと、しなやかな白色の猫が現れた。
尻尾は二本。見慣れてきた、赤い瞳。
「まさか、マオさんがその姿で?」
「ああ、これならちょちょいっといけるし、見つかったとしてもかわいい猫ちゃんですむからな。茉優は二人がベランダに出て来ることを考えて、ちゃんと隠れておくんだぞ」
んじゃ、行ってくるな。
さらりと言い置いて、猫姿のマオがマンションに駆けていく。
「ちょ、ちょちょいって……三階ですよ!?」
猫は身体能力が高いと聞いたことがあるけれど、さすがに壁をよじ登って落ちでもしたら……!
そんなことを考えている間に、本当に"ちょちょいっと"、マオは器用に目的の部屋まで登っていってしまった。
(猫ってこんなこともできるの? あやかしだから?)
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