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ともかく、今はマオの頑張りを水の泡にしてはいけない。
私は急いで周囲を見渡し、窓から死角になりそうな電柱の影にかくれる。
ベランダの枠に登り立ったマオは、合図するようにして尻尾をひとふり。ベランダの内部へと飛び降りた。
高い柵が目隠しになっていて、マオの様子は伺えない。
(マオ……!)
程なくして、手すりにぴょんと白い影。マオだ。
彼は再び器用に身体を使い地面に降り立つと、駆け足で私の元に戻ってきた。
「マオさん、大丈夫でしたか!?」
「ああ、この通りだ。それで、茉優。頼みがあるんだが、沙雪たちにここにくるよう連絡してくれないか?」
「え……」
動揺に固まる私の眼前で、ぼふりと白煙があがる。
人の姿に戻ったマオは、さきほどと変わらず静かな窓を見上げて、
「これは、一気にかたをつけちまったほうがいい」
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